こんにちは。
最近、NHKから国民を守る党(N国)の活動などもあり、日本ではNHKの受信料についての物議が生まれていますね。
NHKが「公共」放送として今後どのようにあるべきか、という議論はさておき、「他の国のテレビ制度はどうなっているんだろう」と気になる方もいるかと思います。特に、これからイギリスに行かれる方はイギリスのテレビ受信料(TV Licence)がどうなっているのか、気になりますよね。
そこで今日は、この話題について書こうと思います。
イギリスの「公共」放送BBC
世界的にも影響力のあるイギリスのBBC、正式名称は「British Broadcasting Corporation」です。Corporationなので企業です。よく「国営」放送と言われがちですが、受信料を基礎に経営をしていますので、正確にはNHKと同じ「公共」放送です。このBBCの収益モデルが公共性を担保するのに有効だね、ということで、BBCを参考にNHKの受信料制度が作られました。
実はBBC収益の内訳は多様でして、チャンネルによってはCMも入りますし、国際分野では税金も投入されています。NHKも、もしかしたらこの部分に「公平性」について多くの人が納得できるようなヒントがあるかも知れませんね。
TV Licence(TVライセンス)制度とは
さて、話を続けます。BBCの収益となる受信料は、TV Licence(TVライセンス)制度で視聴者から徴収しています。
このTVライセンスは、以下に該当する人は全員購入しなければならないと法律で決まっています。
- watch or record programmes on a TV, computer or other device as they’re broadcast
- download or watch BBC programmes on iPlayer – live, catch up or on demand
つまり、テレビ、コンピュータ、その他でテレビ番組を見る人や、スマートフォン、タブレットでiPlayerという視聴アプリ(アプリ自体は無料)をダウンロードする人はTVライセンスを持っている必要があるとのことです。
ちょっとまたNHKの話題に脱線してしまいますが、NHKは放送法で「支払い契約をしなければならない」と規定されていて、「契約」という言葉が一人歩きして、「有無を言わさず契約しなければならないことは、契約の自由の原則に反するのでは?」という視聴者の不満を生んでいるように思います。
イギリスのTVライセンス制度の場合、
- テレビを観る権利を得るにはTVライセンスが必要
- TVライセンスは年間契約で購入するもの
という論理になっていて、こちらの方がNHKよりも違和感なく視聴者に伝わるかな、と思いますね。
ちなみに、以下に該当する活動にはTVライセンスは必要ありません。
- non-BBC programmes on online catch-up services
- videos or DVDs
- clips on websites like YouTube
- closed circuit television (CCTV)
つまり、「テレビを設置する場合はライセンスの購入は必須」「パソコンなどでネット経由でBBC以外のコンテンツを見たりするだけなら必要ない」ということになります。「民放しか観ない」という言い訳を許さず、テレビ設置世帯は全員対象となる点は日本と共通ですね。
なお、75才以上の高齢者は支払いの必要はないなどの優遇があります。この点は日本も見習って欲しい。
料金は年間£154-50(約2万円)
TVライセンスは年間契約で、1年間で£154-50(日本円で約2万円、2019年8月現在)となります。NHKと比較すると、地上波だけならイギリスの方が割高ですが、BS(衛星放送)まで含めた契約にすると、日本の方が高いですね。
払わないと最高£1,000 の罰金
支払わないとどうなるか。実は僕はイギリス移住時にTVライセンスの存在を知らず、ライセンスを購入していませんでした(もちろん現在はしっかり支払っています)。
たまに「量販店でテレビを購入するためにはTVライセンスが必要」と書かれたサイトもありますが、僕は入居時にテレビを購入できたので、そんなことはないと思います。
TVを購入して、BTに加盟していたのでBT TVを契約し、機械をつないで観ていたら、ある日家に手紙が届きました。
すぐに捨ててしまいましたが、確か「あなたの家がテレビの電波を受信しているのを感知した。あなたはTVライセンス購入の義務がある。ただちに購入しないと裁判を起こし、その場合は最大で£1,000の罰金を払う可能性がある」と書いてあったかと思います。
めちゃくちゃ焦りまして、さっそくWEBサイトでライセンスを購入した、という次第です。
本当に受信を感知できるのかはちょっと定かではないですが、こんな厳格な形なので、日本よりズルできないと思います。
これからイギリスで家にテレビを設置する人は忘れずに
ちなみに、WEBサイトで「TVを観ないので(規定された活動に該当しないので)TVライセンスを購入しなくて良い」証明書の発行もできるそうです。僕の場合は本当にTVを観ていたので購入義務が発生しましたが、もしそうでない場合は、この証明書があると裁判には至らないそうです。
イギリスでTVの設置を考えている人は、ぜひTVライセンス制度を忘れずに。それではまた。
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