1万円札が消える!? 米ハーバード大教授がぶち上げた「1万円札廃止論」のナゼ そもそも現実的?
IT Mediaのニュースを読んで、日本では最近「1万円札廃止論」が少々話題になっていると気づきました。
記事を読んでいて思い出すのは、あまり本文とは関係ないかも知れないが「そういえば50ポンド札全然使ってないな」ということ。
イギリスで50ポンド札を出すと偽札を疑われる
イギリスでもっとも高額な紙幣は50ポンド札です。日本円に換算して約7,000円(1ポンド=140円、2017年8月30日現在)。イギリスの物価感覚からいえば5,000円程度です。
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ところが、実生活で使用する一番高価な紙幣は20ポンド札です。最高額紙幣なので50ポンド札がおつりで来ることはもちろんないのですが、それだけでなく、ATMや銀行で現金を下ろしても、20ポンド紙幣が出てきます。
初めて給料をもらったとき、小切手でもらったのですが、それを銀行で現金に換えました。(千何百ポンドです)
その際「何ポンド札がいいか」
と聞かれ、「50ポンド札」と答えました。最高額紙幣と知っていたからです。
ちょっと変な顔をされましたが、20ポンド札を1,000ポンド分って言ったら50枚ですからね。僕からしたら普通の感覚でした。
でもその50ポンド札で生活用品を買おうとしたら、どの見せでも偽札チェックをされました(マーカーで線を引いてすかしを見たり、紫外線に当てたりしてました)。
なんだ、外国人だから信用してないのかな、とその時は思ったのですが、結局これは、「50ポンド札を使うことがイレギュラー」であるからとわかりました。
高額な買い物はカードがスタンダード
イギリスはカード社会と良く言われますが、本当にその通りです。
10ポンドに満たない買い物でもバンバンカードを使います。
高額な買い物になるとなおさらです。誰も日本人の様に財布にびっしり高額紙幣を入れて持ち歩いたりしません。
人々の信頼度は、「カード>現金」であると感じます。
なぜ「カード>現金」なのか
次の理由だと推測しています。経験則で根拠はうすいので、今度勉強したいと思います。
- 偽札、偽造硬貨がかなり流通した時期があった。あるいはしている。
- スリ、強盗など現金を持ち歩くことにリスクがある
- 銀行が個人に与える信頼性(クレジット)に対する評価が高い(例:小切手)
特に3つ目は、これだけグローバルに金融市場が発達した国で、ただ現金をもっている個人よりも、それを支えるスポンサー(銀行)がいる人を信頼するようになった、そういう文化が形成されていった国なんだと勝手に思っています。
1万円札廃止論は日本の経済文化の議論
1万円札廃止はカードの流通とセットで考えることになりますが、例えばこれまで日本社会に小切手が普及したことがあったかといえばないですし、偽札、スリなど現金の信頼性を下げるようなできごとも多くありません。外国人が多く、たとえ日本円を持っていても信用できない、という状況も多くありません。
反対にバブルの崩壊など、株や不動産が紙くずになるようなできごとは日本人の中に印象強く残っていて、現金に対する信頼性は相対的に高いと考えられます。
このような中で培ってきた文化がありますから、イギリス人のようにバンバンカードを使う、現金は2,000円程度、という社会がくるのはまだまだ先の話であると思っています。
Debitカードがひとつその突破口(現金の様に使えるカード)だと思いますが、なぜか全然流行らないですね。僕はイギリスで作ったVISA Debitで日本で買い物をしますが、よく「認証されません」と店員さんが困って戻ってきます。クレジットカードと同様にやると失敗する機械もあるようです。
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