モーガン・フリーマンが語る宇宙 時間は逆行するのか?
イギリスに帰る飛行機の中で、Discovery Channelの面白い番組を見たので、その備忘録です。
過去へ行けたら、というのは永遠のテーマですね。残念ながら自分自身が行くことはできないですが、もしかしたら過去へ情報を送ることができるかもしれないらしいですよ。
“Through the Wormhole with Morgan Freeman”という番組です。
過去、現在、未来という認識は人間が作り出した幻想に過ぎない
まず出てきたのがアインシュタインの「相対性理論」のこの有名な言葉です。僕にはさっそく意味が全くわかりません。
だって、「時間」て存在しているじゃないですか。地球が回っているのですから。昨日があり、今日があり、明日がある。一定方向に時間が流れているはずです。
アインシュタインによれば、「時間は空間の3つの次元と同じ、ひとつの次元に過ぎない」。空間に絶対的な「ここ」が存在しないのと同様、絶対的な「今」は存在しない。これもわかるようでわかりません。天才はスゴイですね。
この「絶対的な『今』がない」というのは単なる言葉遊びではありません。つまり、
「君が『今』って言った瞬間にそれは過去のものになっているんだよ」みたいな話ではありません。
どういうことなのでしょうか。
全ての時は、空間と同じく同時に存在している。
例えば星を見上げた時に、15光年先の星を見た人には15年前の光が届いているので、それを含んだ「今」になっています。1500光年先の星を見た人は1500年前を含んだ「今」になっています。そしてもしその星に人がいるとしたら、そこから見た地球は1500年前の地球なので、古墳時代くらいの地球になっています。「今」はその人の立つ位置によって違うのです。そういう意味で、絶対的な「今」は存在しないことになります。
仮にDRAGON BALLの孫悟空の様に、瞬間移動ができるとしたら、それは空間を超えられるとともに、時間も超えられることになります。だって、1500光年先の星に瞬間移動して、もう一度瞬間移動で戻ってきたら、3000年前の地球に戻ってくることになりますよね(合っているでしょうか)。
そうすると、15年前の地球も、1万年前の地球も、同時に存在していることになります(様々な距離の星があるので)。また、「時間は空間の3次元と同じ、ひとつの次元に過ぎない」というのも納得できそうです。
しかし実際、「今」は相対的なものなのに、私たちが絶対的なものと捉えてしまっています。それはなぜでしょうか。実際には、光は簡単に地球を一周できる速さがあるので、地球程度の距離では差が生まれない。よって私の「今」と隣の人の「今」は共有できてしまうとのことです。つまり地球で生活している限り、時間の概念から逃れられないと。宇宙規模で考えなければ時間は超越できないのですね。
脳が記憶しやすいように時間を歪めている。
続いて出て来たのがこの話です。脳で考えている限り、私たちはその影響を逃れることができないのだそうです。
時間の流れは存在しない
相対性理論に基づけばそういうことになりますね。時間は無数に存在していることになります。ところが、私たちはそれを繋げて考えています。私たちが「流れ」を作り上げてしまっているそうです。
なぜなら、生まれてから今日までの「私」の存在が時空を貫いているからです。その私の脳が今を過去に変えながら記憶を積み上げていくので、時間が流れている様に感じます。脳は情報を次の様に処理する構造になっています。
- 情報を「今」として認知し続ける
- 「今」をある程度の区切りで整理して「過去」とする
- 「過去」と「現在」から「未来」を予想する
そのようにすることがもっとも生存率が高く、脳はそのように進化してきたそうです。それ言われるとそうですが、言われなければ気づかなかったことですね。過去と今がごちゃごちゃだったら生きて行けませんね。パニックになって何一つ行動できないと思います。
もし異星人がいたとして、地球とは違った進化をして脳の処理能力が高かったら、過去と今を一緒にして様々な判断をしているかもしれません。
タイムトラベルは可能か
時間が過去から未来へ一直線の矢印で表されるものではない、ということはわかりました。
そこでいよいよ本題です。あらゆる時間が同時に存在しているのであれば、その時間の世界に行くことはできるのでしょうか。
時間は空間と一緒なので、私たちが行けない4次元の時空に過去の出来事が保存されているそうです。ただ、この4次元に行く方法が確立されていません。残念。
理論上は2つの方法があります。
- 光より速いスピードで移動する
- 時間の閉曲線をワームホールで移動する
光より速いスピードで移動することは膨大なエネルギーを必要とするため不可能という結論が出ているので、現在はワームホールの研究が主です。
ただ、仮に過去に行けたとしても、タイムパラドクスの問題があり、過去を変えることはできないそうです。例えば自分の親を殺したら、自分は生まれないことになるが、それはできない。どの様な形で阻止されるかは不明ですが、とにかくできない。
歴史の道筋は変えられない。ひとつの宇宙に歴史はひとつ
半分哲学の話になってきます。日本では哲学は軽んじられる傾向にありますが、欧米では結構重要視されています。それは最先端の研究がこのように哲学的な考えや発想を必要とするからです。
この考え方の延長で、未来を知ることもできるらしいです。例えば、宇宙の真っ黒の部分に向けて、レーザー光を発射するとします。もし未来において宇宙が消滅するとしたら、ビッグバン以前の「無」の状態に戻るのですから、そこに光は存在できない。するとこのレーザー光の存在は矛盾するので、発射できないらしいです。どの様な形で阻止されるかは不明だが、とにかくできない。面白い考え方ですね。
情報は過去に送れるようになるかもしれない
では、過去に干渉することは絶対にできないのか。
よくタイムパラドクスの延長の話として、
「現在にも過去にも未来人が来たという話はない。だからタイムマシンは発明できない。」という論があります。
これは半分合っていますが、半分そうではないそうです。なんでも、情報なら送れるかもしれないという期待があります。
素粒子の中に、4次元に飛べるものがあることを発見しようとしている科学者がいます。そのような素粒子はどうやら存在しているらしい。4次元に飛んでしまうのと観測できないので、その前に見つけようとしています。
時間が空間と同じならば、時間的閉曲線が存在しているため、この素粒子が解明されれば、ワームホールを作り出すことが可能になるそうです。
ただ、このワームホールはとても繊細で、人間が通るのは不可能だとのこと。それでもたとえば光が送れればモールス信号のような形で情報を送ることは可能です。
もしかしたら、未来の自分から「今日、財布を置き忘れるから気をつけて」という電話が入るような未来がくるかもしれません。
タイムパラドクスは?
過去に情報を送れたら、歴史は変わってしまうのではないかという疑問は残ります。
例えば私が未来において過去との通信装置を発明するとして、その設計図を、過去の研究している自分に向けて送ったらどうなるか。
研究中の自分はそれを元に通信装置を発明しますが、歴史の道筋は変えられないので、「送られてきた設計図を元に作った」のが事実であることになります。そうすると、設計図はどこで生まれたのでしょうか。ある日突然現れたことになります。
これは矛盾にはならないか。
答えは「ならない」らしいです。もしワームホールを作ることができたら、情報は時空を超えて移動することができるので、ある過去において情報が増えることはあり得ることです。
いつかはそんな日が来るといいですね
こうなってくると非常にロマンがありますね。
でも、僕にはまだ未来の僕から電話がかかって来ていないことを考えると、あるいはその素粒子の研究している科学者にヒントが送られてこないことを考えると、まだまだ時間はかかりそうですね。
それにしても、アインシュタインの相対性理論を少しだけわかったのは収穫でした。
AIの研究も進んでいますが、時間の概念についてはどうしているのでしょうね。もし私たちと同じではない形にできたら、それこそ人間を超越できる存在になりますね。こちらの方が現実的かもしれません。
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