とても重要なRemembrance Sunday
こんにちは。今日はRemembrance Sundayの紹介です。
Remembrance Sundayとは
Remembrance Sundayは、イギリスとイギリス連邦に加盟している国における記念日の1つで、第一次世界大戦、第二次世界大戦の戦没者を追悼する日です。
第一次世界大戦が終了した日(Armistice Day)である11月11日に最も近い、11月の第2週がこれに当てはまります。
2018年は特別な年
今年は2つの意味で特別なRemembrance Sundayになっています。
- Armistice Dayと同じ日付
- 第一次世界大戦終結から100周年
つまり、過去を思い出し、戦没者を追悼する上でとても重要な年なのです。
11時に2分間の黙祷
Remembrance Sundayには、午前中からイギリス各地の町、村でキリスト教的な式典が行われます。そして、11時から2分間の黙祷。戦没者を追悼します。
多くの戦死者を出した第一次世界大戦
日本では第二次世界大戦の方が重みがありますが、イギリスにおいては第一次世界大戦がとても重要です。
開戦当初「3週間で終わる」と思われていた戦争は、武器、科学の進歩により長期戦となり、ヨーロッパ全体に大きな被害をもたらしました。イギリスの戦死者は89万人。しかも多くの若い命が失われました。また、当時は大英帝国として世界中に植民地を抱えており、その人たちも加えると、111万人となります。第二次世界大戦のイギリスの戦死者は45万人なので、イギリスにとっては第一次世界大戦こそ、歴史的に重みのある戦争なのです。
地域の教会にも必ずその地域の戦没者を記録した碑があります。
イギリスはどちらの戦争においても勝者ですので、戦争に対する認識は日本人とは異なるなと感じることは多くあります。例えば日本人が戦没者と聞くと、「空襲」や「原爆」による民間人の死者を真っ先に想定しますが、イギリスでは「戦士」、つまり国のために戦った人たちのことをイメージします。
でも、「かけがえのない命を失った」という気持ちは同じです。イギリスの人々にとっては、「大切な命を戦場に送り、失ってしまった」という反省があります。戦没者を想う気持ちは共通なのです。
Poppy(ポピー、ヒナゲシ)の花の意味
Remembrance Sundayが近づくと、町中やテレビで赤いPoppyの花の飾りを胸につけている人を多く見ます。第一次世界大戦の終戦時に、フランスの戦場を覆うように赤いPoppyが育っていたことにちなんでいます。
詩人のJohn McCrae(ジョン・マクレー)がこのPoppyの光景を詩に著し、人々の間に広まり、戦没者追悼の象徴として使われるようになりました。その文を引用しておきます。
“In Flanders fields the poppies blow Between the crosses, row and row…”
ちなみに、飾りはPoppy Appeal(ヒナゲシ募金)に協力するともらえます。募金はおもに退役軍人や戦争で負傷した人々のために使われます。
Lest We Forget(私たちは忘れない)
イギリスの詩人Rudyard Kipling(ラドヤード・キップリング)が19世紀に書いた詩の中で使われた”Lest we Forget”(私たちは忘れない)という一文が、第一次世界大戦後に引用され、使われるようになりました。
今年は町中で兵士の姿をした影のマークとこのフレーズをよく見かけます。
第一次世界大戦から100年が経ちましたが、未だに世界から戦争は無くなっていません。イギリスはシリア空爆など、戦争をやめた訳ではありませんし、ここ数年は「テロとの戦い」を続けています。「戦争」に対する反省、教訓は日本とは異なるとわかります。日本では、最近は少し変わってきましたが、「旧日本軍の兵士の姿=追悼」とは基本的には受け取られないですよね。ですから、これは歴史の違いなんだと思います。
でも、イギリス的な「正義の戦争」の名の下に、多くのイギリス人の命が失われたことは事実です。その意味で、”Lest we Forget”だし、そうならないよう、世界に平和をもたらすために努力する、という決意なのだと思います。
Remembrance Sundayを迎えるたび、人の命の大切さ、かけがえのなさを覚えます。
Leave a comment