ボーディングスクール=イギリスの全寮制学校
僕の働く学校はイギリスにあるので、当然イギリスの法律、規則に則って運営されています。
イギリスの学校形態はいくつかありますが、僕の学校は全寮制学校です。全寮制なので、生徒全員が寮で生活しながら勉強します。この形式をボーディングスクールと言います。
全寮制学校の始まりはイギリスです。家族と離れたところで共同生活をすることで、科目の勉強だけでなく、自律、共生などの能力を養います。だから教師も一般の学校とは別の技術が必要になります。
BSAによる研修会
ボーディングスクールはイギリス各地にありますが、それを束ねる組織がBSA(The Boarding School’s Association)です。
全寮制学校は特殊ですので、特殊な技能やノウハウが必要です。BSAは、イギリス全体の教育環境を鑑みながら、これまでの多くの経験を整理した話や、現状が抱える課題への対応方法など、様々な情報を提供してくれます。
僕たち教師も、普段は教えているばかりですが、それぞれ教育について抱えている悩みはあります。ところがそれを整理する時間が普段あまりありません。毎日が忙しい中であっという間に過ぎていきますからね。これはどの学校現場でも同様だと思います。特に僕たちは生徒と24時間一緒にいる(宿直があるので決してオーバーな表現ではない)全寮制学校ですから、外の現場を観に行く機会も多いわけではないので、どうしても学期中は視野が狭まっていきます。
学期はじめに一度自分や学校全体について振り返るこういった機会は非常に重要です。
質問で「ドキリ」とすること複数回
最近「アクティブ・ラーニング」という言葉が流行って、一回りして落ち着いて来た頃かなと思いますが、もともとヨーロッパの教育方法ですからね。イギリスももちろん本場です。「アクティブ・ラーニング」においてもっとも大切なのは、いかに本質に迫る問いを立てられるかだと思っています。もっと言えば、質問で「ドキリ」とさせられるか。「ドキリ」とすると、そこからアカデミックな議論や学習が始まるのです。
今回の研修(イギリス人の講師で、当然英語です)では、やっぱりそういう場面がありました。例えば、
- あなたたち(教員)が生徒のことで一番気にしているのは何ですか?
- 生徒たちが「この学校は安心だ」と思うために最も大切なことは何だと思いますか?
- ボーディングスクールが提供する最大の価値は何ですか?
- あなたたちがボーディングスクールでの教育に長けていると言える根拠は何ですか?
これらは別に明確な答えはないですが、一教師として、また全寮制学校の教師として、自分なりの答えが必要になりますね。意見を出すと、他の意見も聞きたくなります。そうすると議論が深まっていく。議論が出てきたところで、「こういう観点で見ましょう」と、イギリスの教育現場や教師に求められていることを中心に話を整理していく。あ、なるほどな、とスッキリします。
締めにグッとくる言葉
教師はいつも子どもたちといるので、気づかないうちに偉くなってしまいがちです。謙遜していては進まないことも多くあります。でも本当は偉いわけではない。いつも自己研鑽が必要です。
前述の問いに、「ウッ」と一瞬答えに詰まってしまっていた自分を観て、まだまだ勉強しなきゃなと反省する事ができました。
最後のスライドでは、いい言葉をもらいました。
“Being able to put yourself into students’ shoes”
直訳は「教師はいつでも生徒の靴を履けるように」という意味でしょうか。ニュアンス違ったらすみません。生徒の目線を持つこと、勉強をつづけることを忘れずに、今学期も頑張っていきたいと思います。
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