2016年に改革されたイギリス版国民年金制度
こんにちは。今日から数回に分けて、イギリスの年金制度について話していこうと思います。
「ゆりかごから墓場まで」と言われたイギリスの社会保険制度も過去の話。財政難により何度かの制度改革を経験しています。直近では2016年からThe New State Pensionが開始されています。この話を中心にしたいと思います。
State Pensionとは
直訳すると「公的(国営、国民)年金」という意味です。日本での国民年金に当たると考えてください。2016年以前は2階建て(BasicとAdditional)の制度となっていましたが、複雑だということで、改革後は1階建ての構造になっています。ちなみに年金制度としてはこのほかに雇用者が提供する職場(企業)年金と、独自で手配する個人年金があります。
State Pensionについて詳しく知りたい方は下記の政府ページを確認してください。
State Pensionについて、日本の年金制度と大きく異なる点は、税金で賄われる社会保険(National Insurance)と一体化していることです。日本では、年金制度は国税とは別もので、日本年金機構が管理していますが、イギリスのNational Insuranceの場合、
- イギリス居住者は全員加入
- 給料から天引き
- 所得に応じて金額が変動
- 基本医療(NHS)は無料
などの特徴があります。
35年で満額£168.60/週
National Insuranceに35年加入すると、66歳から満額の£168.60/週、£730.60/月、£8767.20/年が給付されます。受給額は今後、インフレーション(CPI指数)、収入の伸び、2.5%、の指標の中で一番高いものに連動し上昇しています。
一方で受給開始年齢は段階的に引き上げられる予定で、例えば今イギリスで働き始めた20代の若者が老年齢になるころには68歳や69歳などの年齢に引き上げられることが予想されます。
下記のURLから、自分の生年月日を入力すると、年金の受給開始年齢を調べることができます。
http://www.gov.uk/state-pension-age
£168.60/週(£730.60/月)を日本の年金と比べると
日本の国民年金(老年基礎年金)は40年の加入で月額約6.5万円となります。1ポンド=140円(2020年1月現在)として計算すると下記の通りとなります。
満期 | 満額(月) | |
State Pension(イギリス) | 35年 | 102,000円 |
老年基礎年金(日本) | 40年 | 65,000円 |
イギリスの物価は日本より高いのですが(1ポンドだいたい100円くらいの金銭感覚)、それでもイギリスのほうが満期までの期間も短く、受給額も多いですね。私たち日本人がState Pensionを日本で受給したとすると(ポンドが今後暴落しない前提ですが)、10万円を超える金額を受給できることになります。
イギリスの年金制度を活用出来るか
この計算は将来のインフレや為替状況を考慮していない机上のものになりますが、日本の年金制度もいつまで続くか不安があるなかで、イギリスの年金も受給できるとしたら、リスクは分散できます。仮に両方を満額もらえると単純計算で月16万円以上の収入となるので、老後はかなり安心といえます。
そこで、次回は「イギリスの年金を受給するためには」というテーマで話していこうと思います。
それではまた。
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